1. デジタル行財政改革会議とは?その目的と基本的考え方
デジタル行財政改革会議は、急激な人口減少という日本の構造的な課題に対応し、利用者起点で国の行財政のあり方を根本的に見直すために設置された会議です(令和5年10月6日閣議決定)。
目的と社会的意義
デジタル技術を最大限に活用し、公共サービスの維持・強化と地域経済の活性化を図り、社会変革を実現することを目指しています。特に、以下の3つの柱を推進しています。
- 教育・子育て・インフラ等の各分野におけるデジタル化
- 国・地方のデジタル共通基盤の整備
- 社会におけるデータ利活用の推進
2. 会議の体制と主要な取り組み
デジタル行財政改革会議は、複数の推進組織と連携しながら活動を進めています。
| 組織 | 役割 |
|---|---|
| 規制改革推進会議 | 規制改革を通じた制度等の見直し |
| 行政改革推進会議 | EBPM(データに基づく政策立案)の推進、行政運営の効率化 |
| デジタル庁 | 国・地方・準公共共通基盤の整備、各省庁連携のシステム整備 |
3. 最重要課題:データ利活用制度の検討状況
デジタル行財政改革の核となるのが、データ利活用制度の検討です。
3-1 日本の現状と世界(EU・米国)の法体系との比較
- EU:GDPRをベースに「データ法」等の包括的・プロアクティブな制度整備を推進。
- 米国:分野別の連邦法と州法が混在。民間主導の自成的な連携に対するリアクティブな規制。
- 日本:個人情報保護法はあるが、分野横断的かつ包括的なデータ利活用制度の不足が課題。
3-2 データ利活用制度の基本方針策定に向けた動き
総理指示(令和7年2月20日)により、2025年6月をめどに、新たな法制度の必要性を含めた基本的な方針を策定することが決定されました。これにより、「官民データ活用推進基本法」の抜本的改正や新法の検討が進められます。
4. データ利活用の土台を築く「トラスト基盤」の整備
安全で信頼できるデータ駆動社会には、「トラスト(信頼)」の基盤整備が不可欠です。
4-1 トラストの確保と3つのリスク
産業データ連携において対処すべきリスクは以下の通りです。
- 事業者(主体)の真正性リスク:相手が本当にその事業者か。
- データの真正性リスク:内容の不正確さや改ざん。
- 連携基盤のリスク:インフラそのものの脆弱性。
4-2 公的法人認証基盤「GビズID」の役割
GビズIDは、1つのアカウントで様々な行政手続を可能にする法人共通認証基盤です。マイナンバーカードを用いた厳格な本人確認により、事業者の実在性を証明するトラスト機能の要として期待されています。
4-3 データ中心のセキュリティ対策(DOA Security)
従来の境界防御ではなく、データのライフサイクル全体を通じてデータを軸に守るDOA Security(Data Oriented Approach Security)への移行が提唱されています。
5. 今後の全体像と先行分野の取り組み
主な検討事項(4つの柱)
- データの標準化:重要分野のユースケースについて標準規格を策定。
- データ連携の推進:「データ連携プラットフォーム」制度の構築。
- データ蓄積・アクセスの円滑化:デジタル公共財の整備。
- データガバナンス:個人情報保護法のバランスの取れた早期改正。
先行5分野の計画
- 行政:分野横断的な統括機能の確立。
- 医療:二次利用を進めるための包括的法制度(令和9年通常国会提出目標)。
- 金融:クレカAPI接続等の方向性まとめ(令和7年度中)。
- 教育:GビズIDやJPKIを活用した自治体越えの認証基盤整備。
- モビリティ:「モビリティデータスペース」の確立(令和7年度先行開始)。
まとめ: デジタル行財政改革会議は、日本の未来を持続可能にするための国家的なDXプロジェクトです。特に「データ利活用制度」と「トラスト基盤」の整備は、これからのビジネス環境を大きく変える重要な転換点となります。
【関連情報】
・内閣官房 デジタル行財政改革会議公式サイト
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/index.html
・デジタル行財政改革会議 X公式アカウント
・デジタル庁:トラスト
https://www.digital.go.jp/policies/trust
・デジタル庁:DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)
https://www.digital.go.jp/policies/dfft
・総務省:トラストサービス
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/law-index.html
・デジタル証明研究会:年次レポート 2024(論点整理と提言)
https://digitalproof.jp/wp-content/uploads/2025/05/eb343437c3b0ee5a36c7239725a937e5.pdf
・デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC):トラスト入門
https://www.ipa.go.jp/digital/architecture/Individual-link/nl10bi00000038ai-att/trust-basics.pdf
